
腸セラピー資格講座・スクール代表の江口です。
今回は、「腸セラピストが知っておきたい腸と自律神経の仕組み」がテーマです。
<腸セラピー資格講座より>
自律神経とは、自分の意思とは無関係に働き、内臓の動きや呼吸、脈拍、体温などを自動的に調整してくれる神経のことです。
昼間は「交感神経」が優位になり、夜は「副交感神経」が優位になるというリズムを保ちながら、心身のバランスを整えています。
腸の動き(蠕動運動)は、副交感神経が優位なときに活発になります。
そのため、リラックスする時間や質の良い睡眠は、腸の健康を支えるうえでとても重要です。
「自律神経」はよく耳にするけど、その仕組みまでは理解していない方がほとんどです。
以下、自律神経について解説していきます。
自律神経とは?
自律神経は、私たちの体内で“自動運転”のように働き、意識しなくても生命活動を支えています。
心拍や呼吸、血圧、消化吸収、発汗、体温調節などを24時間体制でコントロールしており、常に「交感神経」と「副交感神経」がバランスをとりながら働いています。
☑ 交感神経とは
交感神経は、活動や緊張、ストレスに対応する神経です。
日中に優位になり、血圧や心拍を上げ、筋肉へ血液を送り、集中力を高める働きがあります。
しかし、過度なストレスや睡眠不足が続くと交感神経が優位になりすぎ、腸の動きが鈍くなったり、便秘や不眠、冷えなどの不調につながります。
☑ 副交感神経とは
副交感神経は「休息と修復」の神経です。
夜間やリラックス時に働き、脈拍や血圧を下げ、消化吸収を促進します。
腸の蠕動運動もこの副交感神経の支配下にあるため、腸内環境を整えるためには「リラックスできる時間」を意識的に確保することが大切です。
腸と自律神経の関係
腸は「第二の脳」ともよばれるほど、自律神経と密接に関係しています。
脳がストレスを感じると交感神経が優位になり、腸の動きが抑えられます。
反対に、リラックスすると副交感神経が働き、腸が活発に動き出します。
腸セラピーでは腹部への優しい刺激によって副交感神経を優位に導き、心身のバランスを整える効果が期待できます。
脳と腸をセットでケアする「脳腸相関セラピー」は非常に人気が高いサロンメニューです。
睡眠と自律神経について
深い眠り(ノンレム睡眠)の中では、脳の中を満たす「脳脊髄液(のうせきずいえき)」が活発に循環し、老廃物を洗い流すグリンパティックシステム(glymphatic system)が働きます。
この仕組みにより、脳の疲労が回復し、成長ホルモンの分泌も促進され、心身の修復・再生・健康維持につながります。
一方で、慢性的な睡眠不足が続くと、このグリンパティックシステムが十分に働かず、脳内に老廃物(いわゆる“脳のゴミ”)がたまりやすくなります。
その結果、集中力や思考力の低下だけでなく、交感神経が緊張したままになり、リラックスできない状態が続きます。
こうした状態が長引くと、疲労の蓄積、情緒の不安定、腸の働きの低下など、心身のさまざまな不調へとつながるおそれがあります。
質の良い睡眠をとることは、自律神経のバランスを整え、腸と脳の健康を守るうえでも非常に重要です。
睡眠不足が便秘になる原因
「便秘の原因は睡眠不足」といわれることがあります。
睡眠不足が続くと、自律神経のうち「副交感神経(リラックスを司る神経)」の働きが低下し、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が鈍くなります。
副交感神経は消化管の活動を支える神経であり、特に睡眠中に優位になることで腸が規則的に動き、排便リズムを整えています。
そのため、十分な睡眠がとれない状態では腸の動きが停滞し、便が進みにくくなるのです。
また、睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾール(cortisol)の分泌を増加させることが複数の研究で示されています。(例:Leproult & Van Cauter, The Lancet, 2010)
コルチゾールの過剰分泌は交感神経を刺激し、腸の血流を減少させることで、消化・吸収・排泄の機能を低下させます。
さらに、米国のスタンフォード大学や日本の腸内フローラ研究でも、睡眠不足が腸内細菌叢の多様性を損ない、バクテロイデス属やビフィズス菌などの有用菌が減少することが報告されています。
この腸内環境の乱れが悪玉菌の増加を招き、腸内ガスや便秘、肌荒れ、免疫低下などの不調を引き起こすこともあります。
つまり、睡眠不足は「副交感神経の低下」「ホルモンバランスの乱れ」「腸内環境の悪化」という三重の要因によって、慢性的な便秘を招きやすくします。
腸を整えるためには、腸セラピー(腸もみ)などの外的ケアとあわせて、“眠る力”を取り戻す生活習慣の見直しが欠かせません。
腸セラピストはセロ活や睡眠の指導も
腸と自律神経は密接に連動し、互いに心身の健康を左右しています。
自律神経のバランスを整えることで腸が正しく働き、腸が整うことで自律神経の安定にもつながります。
腸セラピストにとって重要なのは、施術による一時的なリラックスだけでなく、「腸・睡眠・セロトニン」を総合的に整える視点をもつこと。
その知識と実践が、お客様の心と体の両面を支える信頼につながります。
腸を整える施術に加え、セロトニン(幸せホルモン)を活性化する「セロ活」や、科学的根拠がある睡眠指導を組み合わせることで、より包括的なケアが可能になります。
腸だけでなく心の安定や生活リズムを支える存在として、これからの時代にますます求められるでしょう。
まとめ:学習用箇条書きリスト
今回のまとめです。
腸セラピストのための学習用箇条書きリストです。
■ 自律神経とは
・ 自律神経は、自分の意思とは無関係に働き、内臓の動き・呼吸・脈拍・体温などを自動的に調整する神経。
・ 昼間は「交感神経」、夜は「副交感神経」が優位になるリズムを保ちながら、心身のバランスを維持している。
・ 腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)は副交感神経が優位のときに活発化するため、リラックスや質の良い睡眠が腸の健康に不可欠。
■ 交感神経とは
・ 活動・緊張・ストレスに対応する神経で、日中に優位になる。
・ 血圧や心拍を上げ、筋肉への血流を増やし、集中力を高める働きがある。
・ しかし、過度なストレスや睡眠不足が続くと交感神経が過剰に優位になり、腸の動きの低下、便秘、不眠、冷えなどの不調を招く。
■ 副交感神経とは
・ 「休息と修復」を司る神経で、夜間やリラックス時に働く。
・ 血圧や脈拍を下げ、消化吸収を促進する。
・ 腸の蠕動運動もこの神経の支配下にあり、腸内環境を整えるためには意識的に“リラックス時間”をつくることが重要。
■ 腸と自律神経の関係
・ 腸は「第二の脳」とよばれるほど自律神経と密接に関係。
・ ストレスで交感神経が優位になると腸の動きが低下。
・ リラックス状態では副交感神経が活発になり、腸が元気に動く。
・ 腸セラピーは、腹部への穏やかな刺激で副交感神経を優位に導き、心身のバランスを整える効果が期待できる。
・ 脳と腸を同時にケアする「脳腸相関セラピー」は、サロンメニューとしても人気。
■ 睡眠と自律神経の関係
・ 深い眠り(ノンレム睡眠)では、脳内を満たす「脳脊髄液」が循環し、老廃物を洗い流す**グリンパティックシステム(glymphatic system)**が働く。
・ この働きにより、脳疲労の回復・成長ホルモンの分泌促進・心身の修復が行われる。
・ 睡眠不足が続くとこのシステムが十分に機能せず、“脳のゴミ”がたまりやすくなる。
・ 結果として、集中力や思考力の低下、交感神経の緊張持続、疲労や腸の不調を引き起こす。
・ 良質な睡眠は、自律神経のリズムを整え、脳と腸の健康を守るうえで不可欠。
■ 睡眠不足が便秘を招くメカニズム
・ 睡眠不足により副交感神経の働きが低下し、腸の蠕動運動が鈍くなる。
・ 睡眠中は副交感神経が腸を活発に動かし、排便リズムを整えているため、睡眠不足は便の停滞を招く。
・ 睡眠不足はストレスホルモンコルチゾールの分泌を増加させ、交感神経を刺激し、腸の血流を減少させる(Leproult & Van Cauter, The Lancet, 2010)。
・ コルチゾール過剰は消化・吸収・排泄機能を低下させ、腸の働きを鈍らせる。
・ スタンフォード大学や日本の研究では、睡眠不足が腸内細菌叢の多様性を低下させ、バクテロイデス属やビフィズス菌などの有用菌が減少することが報告されている。
・ 腸内環境の乱れは悪玉菌増加や免疫低下を招き、慢性的な便秘につながる。
・ つまり睡眠不足は、 ① 副交感神経の低下 ② ホルモンバランスの乱れ ③ 腸内環境の悪化
・ ―この三重の要因によって便秘を引き起こす。
■ 腸セラピストは「セロ活」と「睡眠指導」を組み合わせよう
・ 腸と自律神経は互いに影響し合い、心身の健康を左右する。
・ 自律神経を整えることで腸の働きが改善し、腸が整うことで自律神経も安定する。
・ 腸セラピストに求められるのは、単なる施術だけでなく「腸・睡眠・セロトニン」を総合的に整える視点。
・ セロトニン(幸せホルモン)を活性化する「セロ活」や、科学的根拠に基づく睡眠指導を組み合わせることで、より包括的なケアが可能。
・ 腸だけでなく、心の安定や生活リズムを支える専門家としての役割が、今後さらに求められていく。
腸セラピストは、腸と自律神経の仕組みをちゃんと理解してより良い施術やアドバイスをしていきましょう!
このブログの執筆者
腸セラピー資格講座・大阪講師

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