
腸セラピー資格講座・東京スクール代表の大八木です。
私たちの心と体のバランスを整える「セロトニン」は、“幸せホルモン”ともよばれる脳内伝達物質です。
セロトニンは、日光を浴びたり、リズム運動をすることで活性化が期待できますが、活性させるだけでなく「セロトニンをつくるための材料」も欠かせません。
摂取した栄養素は腸でしっかり吸収され、それぞれの器官に運ばれることで、セロトニンが合成されます。
また、私たちは、“タッチ”によってセロトニンを活性化することができます。
当スクールの腸セラピー資格講座では、腸と脳のつながりを“癒しの科学”の視点から学び、セロトニンを活性化する施術法を身につけていきます。
今回は、腸セラピーで活性化するセロトニンに注目し、「食」と「タッチ」の相乗効果で心と体を整えるポイントをお話しします。
腸セラピーで活性化するセロトニン
幸せホルモンといわれる、自律神経を整える脳内伝達物質「セロトニン」は、食べ物に含まれる必須アミノ酸「トリプトファン」から合成されます。
栄養が吸収され、脳や腸などそれぞれの臓器へ運ばれて分泌されるため、きちんと栄養を吸収できる腸を整えておくことが大切です。
脳だけでなく、セロトニンは腸でも分泌され蠕動運動にも深く関わっています。
どんなに良い栄養素を取り入れても、腸が元気でなければ意味がありません。
また、腸が吸収しても血流が悪いと全身に届かず、蠕動運動が弱いと老廃物の蓄積に繋がり、便秘や不調のリスクが高まります。
腸がしっかり働くのは、副交感神経が優位なとき、つまり、リラックスしている時間です。
当スクールの腸セラピーも副交感神経を働きやすくする手段の一つです。
心地良いリズムと力加減で施術することでリラックス効果からセロトニンの分泌が期待でき、血流や蠕動運動の改善にも繋がります。
私たちセラピストは、ヘッドマッサージや腸セラピーなどの施術でリラックスの時間を提 供し、セロトニンを活性化させるお仕事をしているのです。
セロトニンを活性化する食事のポイント
この章では、セロトニンの活性化に欠かせない“食”についてお話しします。
セロトニンをつくるには、トリプトファンだけでなく、ビタミンB6と炭水化物も必要です。
ビタミンB6は、トリプトファンからセロトニンへの合成を促進させる栄養素であり、炭水化物はその合成に必要なエネルギー源として働きます。
これらをバランスよく摂ることで、セロトニンの合成がスムーズに進みます。
ここからは、1日の食事の中で意識したいセロトニンを活性化する食事のポイントを朝・昼・夜の流れに沿ってご紹介します。
朝食:1日のリズムを整えるスタートスイッチ
朝は、セロトニン神経を目覚めさせる大切な時間です。
光を浴び、朝食をとり、体を動かすことで、1日のリズムを整えるスタートスイッチが入ります。
特に「咀嚼(そしゃく)=噛むリズム」は、セロトニンを刺激する重要な要素です。
トリプトファン+炭水化物+ビタミンB6を意識して組み合わせましょう。
おすすめの朝食例
- 納豆ごはんや豆腐、卵、味噌汁(トリプトファンが豊富)
- バナナ、ヨーグルト、全粒パン(炭水化物+乳製品の組み合わせで吸収促進)
- 豆腐とわかめの味噌汁+おにぎり
- 温かいスープや白湯で胃腸をやさしく起こす
朝の光を浴びながら食事をとることは、セロトニンの分泌を促すだけでなく、体内時計を整えるためにも大切です。
昼食:集中力と安定感を支える「バランス食」
セロトニンは、集中力や感情のバランスをつかさどる前頭前野(ぜんとうぜんや)を活性化し、心の安定感をサポートします。
午前中の活動で消耗した脳と体を休め、午後も穏やかに過ごすためには、昼の食事でもセロトニンの材料を意識するとよいでしょう。
バランスの取れた和食や地中海式食には、セロトニンの材料となるトリプトファンや、その合成を助けるビタミンB群、さらに神経の働きをサポートする良質な油(オメガ3脂肪酸)が自然に含まれています。
おすすめの昼食例
- 雑穀米+焼き魚(サバ・イワシ・サンマなど)+具だくさん味噌汁
- 豆腐ハンバーグ+野菜の副菜+ごはん
- 全粒パスタ+オリーブオイルとトマトソース+サラダ
- 玄米+チキンソテー+野菜スープ
食後の軽いストレッチや散歩など、リズム運動を取り入れると、セロトニンの活性がさらに高まります。
夜食・夕食:安眠のための「セロトニン→メラトニン」連鎖
夜は、セロトニンが睡眠ホルモンのメラトニンへと変換される時間帯です。
日中に分泌されたセロトニンが十分にあると、夜の入眠がスムーズになり、深い眠りへと繋がります。
夜遅い食事は避け、消化にやさしい温かいメニューを心がけましょう。
就寝2〜3時間前までに食事を終えることで、腸が休む時間を確保できます。
おすすめの夕食例
- 豆腐と野菜の味噌汁
- 白身魚の煮つけ
- 温野菜や雑炊など
「セロトニンは朝に分泌されるもの」と思われがちですが、夜も穏やかな環境の中でセロトニンが分泌されていると、セロトニンからメラトニンへとつながる連鎖がスムーズに働き、深い眠りを導きます。
間食: 間食でできる“ミニセロ活”
脳が甘いものを欲するのは、脳疲労によってエネルギー(ブドウ糖)を必要としているサインです。
集中や思考、情報処理が続くと、脳は多くのエネルギーを消費し、一時的に「糖分で補給したい」と感じます。
ただし、血糖値を急に上げるような甘い間食は、一時的な満足感はあっても、その後の疲労感を強めてしまうことがあります。
血糖値が急に上がるような甘いものは避け、空腹時には、脳と腸のバランスを整える間食を意識しましょう。
おすすめの間食例
- カカオ70%以上のチョコレート(トリプトファンとポリフェノールでリラックス)
- ナッツ、ヨーグルト、バナナ(腸を整えながらエネルギー補給)
- 温かいハーブティー(カモミールやラベンダーで副交感神経をサポート)
ちょっとした間食も、選び方次第で“ミニセロ活”になります。
なかでもバナナは、トリプトファン・ビタミンB6・炭水化物の3つをバランスよく含み、セロトニン合成をサポートします。
間食としてはもちろん、朝のエネルギーチャージにもおすすめです。
情報や刺激が多い今の時代、知らず知らずのうちにセロトニン神経は疲れています。 だからこそ、誰もが毎日している食事を、食を通して心と体を整える時間として意識することが大切です。
セロトニンという“幸せホルモン”は、特別なものではなく、日々の生活の中で心を穏やかに保つ力です。無理なく続けられることが、セロ活であり、心の安定につながるいちばんの習慣になります。
心と腸を整える“セロトニンタッチ”
ここからは、施術におけるタッチについてお話しします。
栄養を取り入れることと同じくらい大切なのが、それを全身に届けることです。
リラックスして副交感神経が優位になると、血流が促進され、栄養や酸素が体のすみずみまで届きやすくなります。
同時に、心地よい刺激によってオキシトシン(愛情ホルモン)の分泌が高まり、幸せホルモンセロトニンの活性化に繋がります。
腸セラピーやヘッドマッサージでは、この心地よいタッチを通じて副交感神経を整え、心と体をリラックス状態へ導きます。
その結果、セロトニンが自然に引き出され、質の良い睡眠へと繋がり、腸を整える効果も期待できます。
上記のような、オキシトシンの分泌とセロトニンの活性化のプロセスを意識して触れることを『セロトニンタッチ』とよんでいます。
セロトニンタッチとは 「呼吸」「リズム」「心地よさ」の3つを大切にした、心と神経を整える“癒しのタッチ”です。
ヘッドマッサージではヘッドタッチマナーとして指導しています。
このセロトニンタッチは腸セラピーなどあらゆる施術に共通する考え方といえるでしょう。
セロトニンタッチのマナー
1.最初のタッチを丁寧に
触れる瞬間は、「これから癒しの時間が始まる」という合図です。安心を感じてもらえるように、呼吸を合わせてやさしく触れましょう。
2.一定のリズムで触れる
リズムの乱れは脳を警戒モードにします。ゆっくりと一定のテンポで触れることで、副交感神経が働きやすくなり、オキシトシン(愛情ホルモン)も促されます。
3.心地よさを優先する
必要のない場所には触れず、無駄な刺激を与えないようにしましょう。特に軽擦(けいさつ)のようにやさしくなでるような動きは、心地よさを引き出す基本です。
4.手の温度を整える
冷たい手は不快感や緊張を招きます。施術前に手を温め、温もりのあるタッチで安心感を伝えましょう。
5.セラピスト自身がリラックスする
セラピストの心の状態は呼吸と手に表れます。セラピストが力んでいれば、その緊張は相手にも伝わります。深い呼吸を意識し、穏やかな気持ちで触れることが、何よりの癒しになります。
施術に心地よさを加える『タッチマナー』は、癒しの施術の価値をさらに高めます。
セロトニン活性を意識したセロトニンタッチを通して、お客様の心と体が安心できる環境をつくりましょう。
腸セラピー、ヘッドマッサージ、ハンドリフレクソロジーなど、どの施術においても、ほぐすだけでなく“癒す”という意識が、真のリラクゼーションにつながります。
まとめ:学習用箇条書きリスト
今回は、腸セラピーを通してセロトニンに注目し、「食」と「タッチ」の相乗効果によって幸せホルモン・セロトニンを活性化させるポイントをお伝えしました。
◆セロトニンを整えるポイント
- 心の安定や自律神経の調整に関わる脳内伝達物質。
- 腸・脳・血管など全身で分泌され、それぞれの働きを支えている。
- 食べ物に含まれる必須アミノ酸「トリプトファン」から合成される。
- 栄養を吸収できる腸を整えることが、セロトニン分泌の土台となる。
- 腸がしっかり働くのは、副交感神経が優位なとき。リラックスが大切。
◆ 食でセロトニンを活性化するポイント(食のセロ活)
- トリプトファン、ビタミンB6、炭水化物の3つを意識して摂る。
- 朝は日光を浴び、咀嚼(そしゃく)のリズムでセロトニン神経を目覚めさせる。
- 昼は前頭前野を活性化し、集中力と安定感をサポートする。
- 夜はセロトニンからメラトニンへとつながる“睡眠連鎖”を意識。
- 間食では、バナナ・ナッツ・チョコなど、血糖を安定させる食品を選ぶ。
- 食事を「心と体を整える時間」として意識することがセロ活の基本。
◆ タッチでセロトニンを引き出すポイント(セロトニンタッチ)
- セロトニン活性化には、オキシトシン(愛情ホルモン)の分泌が鍵。
- 「呼吸」「リズム」「心地よさ」の3要素を意識して触れる。
- 軽擦(けいさつ)=やさしくなでるようなタッチが心地よさを引き出す。
- 施術前に手を温め、ぬくもりのあるタッチで安心感を伝える。
- セラピスト自身の呼吸と心の落ち着きが、癒しの質を高める。
- 腸セラピー、ヘッドマッサージ、ハンドリフレクソロジーなど、すべての施術に共通する考え方。
- 技術の正確さ(筋肉や筋膜を緩めること)に加え、“心地よさ”を意識することが真のリラクゼーションへつながる
食とタッチの両面からセロトニンを活性化することで、気持ちの安定や睡眠の質の向上が期待できます。
当スクールの腸セラピー資格講座では、こうした“食とタッチの相乗効果”を癒しの科学として学べます。
毎日の食卓と手のぬくもりから幸せホルモン育む“日常のセロ活”を、腸セラピストとしての施術を通して広げていきましょう。
このブログの執筆者
腸セラピー資格講座・東京講師

大八木 さとこ
「セロトニンタッチ」「ヘッドタッチマナー」の生みの親。
オキシトシンやセロトニン活性など科学的根拠がある癒しを軸に様々なセラピーの指導をしています。
- 一般社団法人日本ヘッドセラピスト認定協会 東京代表講師
- セロ活アドバイザー代表
- セロトニンDojo認定セロトニントレーナー
- 睡眠健康指導士
- 感涙療法士
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